個別労働紛争相談所
特定社会保険労務士が職場のトラブルを円満解決します。
■増えている職場のトラブル
職場のトラブルは、年々増えています。下のグラフは、厚生労働省の「個別労働紛争解決制度施行状況」平成15年度版〜21年度版から作成したものです。都道府県労働局に設けられている総合労働相談コーナーの相談件数の増加ぶりは驚くばかりです。「平成21年度個別労働紛争解決制度施行状況」によりますと、相談件数は1,141,006件にものぼります。
ここで注目して注目していただきたいのは、下表「あっせん申請受理件数」です。増えている職場のトラブルに比べて、まだ「あっせん制度」の利用が進んでいません。裁判等による解決よりも、費用の面や双方の秘密が守られる面で、会社・労働者にとって利点が多いのですが、まだ一般的に知られていないというのが現状でしょう。
年度 |
あっせん申請受理件数 |
平成15年 |
5,352 |
平成16年 |
6,014 |
平成17年 |
6,888 |
平成18年 |
6,924 |
平成19年 |
7,146 |
平成20年 |
8,457 |
平成21年 |
7,821 |
■平成23年度個別労働紛争解決制度の状況
助言・指導申出件数が大幅に増加
あっせん申請受理件数は微増で企業参加は53%
厚生労働省は平成24年5月29日、平成23年度個別労働紛争解決制度施行状況を公表した。総合労働相談件数は平成21年度をピークに減少傾向にあるものの依然100万件を超え、高止まりの状況となっている。このうち民事上の個別労働紛争相談件数および助言・指導申出件数は過去最高となり、特に助言・指導申出件数は前年度よりも24.7%と大幅に増加した。一方、あっせん申請受理件数は1.9%の微増で、平成20年度のピーク時よりも2割減となっている。
前年度より24.7%増の「助言・指導」申出件数
各都道府県の労働局、労働基準監督署および街中の総合労働相談コーナーに寄せられる総合労働相談件数は、平成21年度をピークに減少傾向にあり、平成23年度は前年度より1.8%減の110万9,454件となった。そのなかで、民事上の個別労働紛争に係る相談件数は平成13年10月の法施行時から年々伸び続け、平成23年度は前年度比3.8%増の25万6,343件と過去最高を示した。労働者からの相談は20万6,516件、事業主からの相談も3万166件ある。
このうち、都道府県労働局長による「助言・指導」申出件数は前年度比24.7%と著しく増加し、過去最高の9,590件となった。また、紛争調整委員会による「あっせん」申請受理件数は平成20年度をピークに減少傾向にあったが、平成23年度は前年度比1.9%の微増を示し、6,510件となった。助言・指導申出件数が大きく増加した理由として、厚生労働省は制度が発足して11年が経過し、周知広報により国民に制度が浸透してきたこと、また相談にあたる職員のスキルアップが図られてきたことがあると見ている。
相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が16.6%増
なお、紛争解決援助の対象とすべき事案において、助言・指導で対応するか、あっせんを利用するかについては、相談にあたる職員が相談者の抱える問題や要望に応じて、ケースごとにアドバイスをしている。厚生労働省は全体的な傾向として、解雇に対して復職を希望する場合には助言・指導による対応、復職をあきらめて金銭的な解決を図る場合にはあっせんによる対応が図られる場合が多いと見ている。
相談内容については、最多が「解雇」(18.9%)、2番目が「いじめ・嫌がらせ」(15.1%)、3番目が「労働条件の引き下げ」(12.1%)となっており、解雇の相談が年々減少する一方で、いじめ・嫌がらせの相談が増加する傾向は制度発足時から続いている。同様に、相談者のうち正社員の割合は年々減少し、平成23年度は41.5%となった。逆にパート・アルバイト、派遣労働者、期間契約社員といった非正規労働者の相談者の割合は年々増加している。
助言・指導とあっせんの相談内容を比べると、あっせんにおいては「解雇」の相談割合が35.2%と、助言・指導の19.6%よりかなり高いことが特徴的といえる。いじめ・嫌がらせの相談割合は助言・相談が14.4%、あっせんが16.4%と大きな差はない。
最終解決は助言・指導の6割、あっせんの4割
手続の運用について見ると、助言・指導の申出のあった案件については1ヵ月以内に96.8%が手続を終了している。助言・指導申出を受け付けた9,590件のうち9,325件について助言・指導を実施したが、最終解決に至ったのはその6割程度の5,600件だった。また、あっせんの申請を受理した案件については2ヵ月以内に94.5%が手続を終了している。手続を終了した6,362件のうち、紛争当事者となる企業側の参加があったのは53%、その72%の2,438件において合意が成立しているが、これは手続を終了した6,362件の4割程度となっている。
「助言・指導」「あっせん」いずれも"簡易・迅速・無料"という制度の特徴を生かした運用がなされている一方で、紛争の最終解決に至る割合は高いとはいえず、課題が残る結果となっている。
■裁判外紛争解決手続き(ADR)とは
裁判外紛争解決手続き(ADR)には、都道府県労働局の紛争調整委員会が行なう「あっせん」などがあります。
「あっせん」とは、トラブルの当事者の会社と労働者の間に、学識経験者である第三者が入り、双方の主張の要点を確かめ、場合によっては、両者が採るべき具体的なあっせん案を提示するなど、紛争当事者間の調整を行い、話合いを促進することにより、紛争の円満な解決を図る制度です。双方がなっとくできる内容で和解書(民法上の和解契約の効力を持ちます)を作成し、調印すれば、問題は解決です。
都道府県労働局の紛争調整委員会の「あっせん」により解決可能な事件の事例は以下の通りです。
- 解雇(懲戒解雇、リストラ・整理解雇含む)
- 雇止め
- 退職勧奨
- 配置転換
- 出向
- 昇進・昇格、降級・降格
- 労働条件の不利益変更
- セクハラ
- 職場のいじめ(パワハラ)
- 会社分割などによる労働契約の承継
- 同業他社への就業禁止等の競業避止契約に関する紛争
- 退職に伴う研修費用の返還
- 会社所有物の破損に関する損害賠償
ただし、次のような紛争は「あっせん」の対象となりませんのでご注意ください。
- 労働組合と事業主の間の紛争や労働者と労働者の間の紛争
- 募集・採用に関する紛争
- 裁判で係争中である紛争又は確定判決が出されている等、他の制度において取り扱われている紛争
- 労働組合と事業主との間で問題として取り上げられており、両者の間で自主的な解決を図るべく話合いが進められている紛争 など
以上のことは、都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会による「あっせん」の話ですが、他にも民間の労働紛争解決センターを利用することもできます。
紛争調整委員会等による「あっせん」のような、裁判によらない、個別労働紛争の解決手段をADR(裁判外紛争解決手続)といいます。ADRの手続は、裁判等よりも簡単ですが、法律の専門家に代理を依頼したほうが有利に展開することができ、安心です。
個別労働紛争の解決の専門家である、「特定社会保険労務士」が職場のトラブルをまーるくおさめます。
■特定社会保険労務士とは?
紛争解決手続代理業務を行うために必要な学識及び実務能力に関する研修(特別研修・総時間63.5時間)を修了し、厚生労働大臣が行う紛争解決手続代理業務試験に合格した社会保険労務士だけがなることができます。「特定社会保険労務士」になれば、以下に掲げる紛争解決手続代理業務を行なうことができます。
「代理」とは、依頼人に代わって紛争の解決手続を行なうことです。
- 都道府県労働局における個別労働関係紛争のあっせんの手続等の代理
- あっせんで取り扱う内容は前述「解決可能な事件の事例」をご参照ください。ご参照後は、ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。
- 都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせんの手続等の代理
- あっせんで取り扱う内容は1.の都道府県労働局の紛争調整委員会と同様。「解決可能な事件の事例」をご参照ください。ご参照後は、ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。
- 都道府県労働局における男女雇用機会均等法の調停の手続等の代理(以下取り扱うことができる紛争。募集・採用に関る紛争は除かれます。)
- 配置
- 昇進、降格
- 教育訓練
- 福利厚生
- 職種の変更
- 雇用形態の変更
- 退職の勧奨
- 定年
- 解雇
- 労働契約の変更
- 間接差別
- 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い
- セクシュアルハラスメント
- 母性健康管理措置
- 都道府県労働局における育児介護休業法の調停の手続等の代理(以下の事項に関する労働者と会社との間の紛争)
- 育児休業制度
- 介護休業制度
- 子の看護休暇制度
- 時間外労働の制限
- 深夜業の制限
- 勤務時間の短縮等の措置
- 育児休業等を理由とする不利益取扱い
- 労働者の配置に関する配慮
- 都道府県労働局におけるパート労働法の調停の手続等の代理(以下の事項に関する労働者と会社との間の紛争)
- 労働条件の文書交付等
- 福利厚生施設の利用の機会
通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者に対する差別的取扱いの禁止
- 通常の労働者への転換を推進するための措置
- 待遇の決定についての説明
- 職務の遂行に必要な教育訓練
- 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体(民間のADR施設)が行う裁判外紛争解決手続における当事者の代理
- あっせんで取り扱う内容は1.の都道府県労働局の紛争調整委員会と同様。「解決可能な事件の事例」をご参照ください。ご参照後は、ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。
■会社の秘密は守られます
特定社会保険労務士(社会保険労務士)には守秘義務がありますので、会社の秘密は守られます。安心してご依頼ください。守秘義務に違反した場合、社会保険労務士法32条の2により、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」とされています。
社会保険労務士法より
(開業社会保険労務士の使用人等の秘密を守る義務)
第27条の2 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の使用人その他の従業者でなくなつた後においても、また同様とする。 |
■個別労働紛争解決のご相談
個別労働紛争に関する相談の受付はこちらのコーナーからお願いします。特定社会保険労務士は常駐していませんので、お電話でのご相談はご遠慮ください。
相談料は30分3,300円ですが、事前にフォームより相談内容をお知らせいただくと、時間と相談料金の節約にもなりますし、こちらの対策もスムーズに行なえます。