週40時間の枠内と割増賃金 (2003年9月号より抜粋)  
     
 

週40時間の枠内に収まっていれば休日出勤しても割増は不要に?

 

Q

総務担当の社員が、耳よりの情報を仕入れてきました。「社員が欠勤した場合、週40時間に達するまで残業させても、割増は不要」というのです。この論理を拡大すると、祝日が入った週も、同じ扱いが可能ではないでしょうか。

 

 
 

A

せっかくの「耳よりの情報」ですが、大事な前提条件が欠落しているようです。週40時間の会社で、社員が1日欠勤したとします。その社員が土曜日(法定外休日)に出勤して、仕事の穴を埋めた場合、週の労働時間が40時間以内に収まっているなら、おっしゃるとおり割増賃金は不要です。

しかし、1日欠勤した分を、他の平日に2時間ずつ割り振って、仕事をやり終えたとします。この場合も、週の労働時間は1日10時間(所定8時間+残業2時間)×4日=40時間です。

ところが、残業に該当するか否かは、週と1日と両方の視点からみる必要があります。1週40時間以内に収まっていても、1日の上限8時間を超えた2時間は、時間外となります。こちらのケースでは、残業8時間に対し、25%の割増を付けないといけません。

ですから、「欠勤」し、かつ「毎日の残業はなく、法定外休日に出勤する」という条件がそろわないと、割増不要という結論にはならないのです。

同じ休むのでも、欠勤と年休とでは扱いが異なります。年休を取ったときの労働時間のカウント方法について、以前は明確に示されていませんでした。

しかし、フレックスタイム制が登場し、年休を取ったときは、「標準労働時間(1日分の労働時間)」働いたとみなし、実労働時間に加えるという原則が明文で規定されました。それとのバランスからみれば、通常の労働時間制を採用していても、年休を取った日を欠勤と同じように処理することはできないと考えられます。

ご質問にある「国民の祝日」のある週は、1週間の所定労働時間が短縮されます。この場合、毎日の残業がなく、法定外休日に出勤し、週の労働時間が法定の40時間の枠内に収まれば、割増賃金は必要ありません。

しかし、週単位でみて40時間を超えていなくても、1日単位で8時間の枠を超えて残業すれば、割増を払う義務が生じます。

仕事の時間帯を土曜日に設定する必然性があればともかく、普通は、平日の残業で与えられた仕事をカバーしようとするでしょう。ですから、割増不要という条件を満たす機会は、あまり多くないと考えられます。

さらに、土曜日など法定外休日に出勤したときは、「25%の割増を払う」と就業規則で規定している企業も少なくありません。そうしたケースでは、週40時間を超えていなくても、休日出勤には一律割増が必要です。

総務担当の方が耳にした情報は誤りではありませんが、その前提条件に注意する必要があります。

 

 
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