週をまたぐ振り替え (2004年12月号より抜粋)  
     
 

土曜に出勤させた代わりに翌月曜を休みにすれば時間外は発生しないか

 

Q

当社は、1日8時間、週5日勤務が原則です。先日、土曜日に出勤させ、翌週の月曜日を振替休日としました。この場合、トータルの労働時間に変わりはないので、土曜出勤分の時間は、36協定(時間外・休日労働)の上限時間の計算に含める必要がないという理解でよいでしょうか。

 

 
 

A

週単位の時間管理必要

36協定では、法定の労働時間を超えて働かせることが可能な時間を定めます。時間外労働については、1日、1日を超え3ヵ月以内の期間、1年の3種類に分け、上限時間を協定します。

法定労働時間の原則は、ご承知のとおり1週40時間以内、1日8時間以内です。1週間は、就業規則等で別に定めがない限り、日曜日から土曜日までを1サイクルとします。

お尋ねのケースでは、週をまたいで振替を実施したので、日曜から土曜までの1週間でみた労働時間は48時間(8時間×6日)に達しています。ですから、この1週間単位では、法定労働時間40時間を超えた時間外労働が8時間発生しています。

これは、翌週の労働時間を短縮したからといって、相殺できるものではありません。いったん、時間外労働が確定すると、125%分の賃金支払い義務が生じます。

一方、翌週の労働時間が減った場合、減額できるのは100%部分の賃金だけです。このため、時間外と翌週の振替休日分の賃金を単純に相殺すると、25%分の不払が出てしまうのです。トータルの労働時間が変わらなくても、支払うべき賃金額に違いが生じるのです。

行政解釈(昭63・3・14基発第150号)でも、「休日労働に対し割増賃金を支払わなければならないのは、法定休日労働のみと解するが如何」という問に対し、「見解のとおり。ただし、法定休日以外の休日の労働により週の法定労働時間を超える場合には、時間外労働の割増賃金の支払いを要するから念のため」と回答しています。

土曜日と翌週の月曜を振り替えても、日曜日の休日が確保されているので、法定外休日を振り替えただけです。ですから、土曜日の労働はもちろん休日労働には該当せず、3割5分増しの割増賃金は不要です。

しかし、休日を振り替えたことによって、週の法定労働時間を超えてしますと、それは時間外割増賃金の支払対象になるのです。

これは、単に2割5分増しの賃金を払う必要だけが生じるという意味ではありません。その8時間は、現実に週の法定労働時間を超えて働かせたのですから、法で定める時間外割増労働に該当します。

ですから、36協定の上限時間を管理する場合、この8時間も含めてカウントします。

ですから、仮に1月の時間外上限を45時間と協定していたとすれば、その月に、余分に時間外労働を命じられる残余は37時間となります。

 

 
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