退職した女性従業員の出産育児一時金(2005年6月号より抜粋)  
     
 

妊娠中の女性従業員が退職するが夫の扶養者になると給付に影響ないか

 

Q

妊娠中の女性従業員が、退職します。6ヵ月以内に出産すれば、出産育児一時金と出産手当金を受けられるといいますが、この場合、夫の健康保険の被扶養者になると権利に影響しますか。資格喪失の手続きを取るのは、出産手当金等を受給した後の方がよいのでしょうか。

 

 
 

A

6ヶ月以内に出産なら受給権あり

健康保険の保険給付は、原則として被保険者に給付されます。しかし、資格喪失と同時にすべての権利が消失するのは、本人にとって酷です。このため、一定の要件を満たす場合には、資格喪失後も給付を行う規定が設けられています。

出産に関する給付(出産手当金・出産育児一時傘)については、次の2つが要件となっています。

  1. 資格喪失後6月以内に出産したこと
  2. 資格喪失の前日まで、継続して1年以上被保険者期間があること

資格喪失後の保険給付は、「被保険者であった者」本人が受け取ります。しかし、「被保険者であった者」として保険給付を受け取っているからといって、他の医療保険に無加入の状態を続けることはできません。国民皆保険の原則に反します。

出産以外に新たに私傷病等が発生し、病院を利用することも予想されますが、そちらについて資格喪失後も健保から給付を受けることはできません。

夫が健康保険の加入者で、お尋ねの女性従業員が専業主婦という状態なら、夫の被扶養者になります。

被扶養者が病気等になった場合、健保から保険給付を受けるのは、被扶養者ではなく、被保険者本人(夫)です。しかし、だからといって、妻本人が「資格喪失後の継続給付」を受ける権利がなくなるわけではありません。

ちなみに、出産育児一時金については、夫の被扶養者として「家族出産育児一時金」を受けることも可能です(受け取り者は夫)。本人の出産育児一時金と家族出産育児一時金は、「選択」です。

一部の健康保険組合では、出産育児一時金の額が、政府管掌の健康保険より高い場合があります。よく調べて高額のほうを選択するようにしましょう。

 
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