賃金体系最適化のススメ
■ポスト年功序列賃金体系の模索
従来の年功序列型賃金制度の問題点が浮き彫りにされて久しい。
勤続年数の多い従業員の賃金が高くなる制度であるため、従業員の高齢化が進むと賃金が肥大化してしまうのです。高度経済成長期のような右肩あがりの成長が可能ならば、業績の伸びが賃金の伸びを上回り、問題はありません。(下図)
しかし、現在の日本はまさに低成長時代。賃金の肥大化を放置していると企業の健全な発展をさまたげるどころか、経営破たんになりかねません。
また、業種によっては業績の伸びに限界があります。(下図)
年功序列型賃金制度を続けているかぎり、賃金の過度の伸びが経営を圧迫するという問題は解決できません。
その後、能力主義をうたった職能給と職能資格制度が普及したものの、運用方法がどうしても年功的にならざるを得ず、大きな変革とはなりませんでした。
そこで1990年代に成果主義賃金制度が登場したのです。
■成果主義の登場と挫折
成果主義とは、簡単に言うと、「成果(会社の業績への貢献度)に応じた賃金を支払う」という考え方です。
成果主義においては、従来高給をもらっていた勤続年数の長い従業員でも、会社の業績への貢献度が低ければ、安い賃金しかもらえません。
逆に勤続年数の短い従業員でも、ヤル気と実力があれば、高給をもらうことができるのです。
成果主義イメージ
(賃金を予算化して会社への貢献度に応じて分配する)
「成果主義を導入で従業員の士気が高まり、業績がアップ!!果を出した従業員の賃金は増え、会社は収益増と双方にとってメリットがあります。」
という大義名分で一時期大流行した成果主義でしたが、その実の目的は社員の総賃金の枠の縮小でした。また、成果主義に必須である人事考課制度に未熟さがあり、賃金と直結する評価に社員が納得しませんでした。また「成果の尺度」をいかに設定するかという問題、賃下げの名目として導入されたことに社員が気付き始めたこともあり、成果主義は急速に衰退に向かったのです。
ただ、成果主義は中小規模の事業所、管理監督者、営業などの成果がはっきり見える部門に対しては有効であるというのが私どもの見解です。
■会社に合った賃金体系を選択する時代
これからは、業種、会社ごとの特質によって賃金体系を構築していく時代になったと言えましょう。もっと言えば、会社の業態にあった賃金体系を採用しないと厳しい時代を生き残れないでしょう。
貴社にもっとも適した賃金体系はどれでしょうか?
年功序列改良型 詳しく
年功序列型賃金制度にも、さまざまなメリットがあります。
- 会社への帰属意識が高くなる
- 社員の連帯感が強くなる
- 人事評価に費やすエネルギーが少ない
伝統的給与体系をあまりいじりたくない会社向けの給与体系と言えます。
- 年功的基本給+諸手当(能力重視)
- 年功的基本給+諸手当(成果重視)
- 年功的基本給+諸手当(生活重視)
など、基本給をメインにしながら、能力や成果によるもの、その他の諸手当を組み合わせるのもいいでしょう。
能力主義 詳しく
いわゆる「基本給」の決定方法を根本的に見直します。
勤続年数や年齢による決定を廃止・縮小し、職務遂行能力に応じて職能給を決定します。
- 職能給
- 職能給(能力に対する給与)+職務給(仕事の内容に対する給与)
- 職能給+伝統的諸手当
成果主義 詳しく
いわゆる「基本給」の決定方法を根本的に見直します。
勤続年数や年齢による決定を廃止し、「成果(※)」に応じて決定します。
会社への貢献度が低い社員の給与をおさえ、
貢献度の高い社員を優遇することができます。
※成果・・・個人目標、部門目標、会社目標に対する貢献度
成果主義(年俸制) 詳しく
成果主義を徹底すると年俸制にたどりつきます。
今年度の成果(※)に基づき、来年度の年俸を決定するという考えです。
年俸制においては、定期昇給という概念はなくなります。
(毎年、成果と給与の予算によって年俸が変化するからです)
※成果・・・個人目標、部門目標、会社目標に対する貢献度
生活給重視主義 詳しく
年功序列賃金の登場前の「社員が食っていけるベースの賃金を支給する」という、賃金思想です。古いと思われるかもしれませんが、定期昇給の余力の無い企業様、割増賃金(残業代)を節減したい企業様には非常に大きな効果を発揮します。
労働者の「生活の維持」に主眼をおいた給与(手当て)。以下のようなものが現在でも生活給与の時代の影響で残っています。
その他(ハイブリッド型)
■賃金体系変更のご相談
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当所が構築している給与体系(賃金制度)一覧
年功序列改良型 能力主義 成果主義 成果主義(年俸制)